ハニポッポ

オタクの月次報告会

2歳児に「鬼から電話」を試して、親のほうが叱られた気分になった話

先日の話です。その日はどうにも子どものテンションが鎮まらず、23時を過ぎても寝室で元気に過ごしていました。

 

ただ寝ないだけならまだ良いのですが、その日はベッドの上をピョンピョン飛び回り、足をもつれさせては何度も転んでいました。転んだ拍子に壁やベッドの角にぶつかったり、床に落ちてしまったら大怪我にもつながります。そして何より、隣に寝ているわたしや夫が何度も踏みつけられて痛かったし、いい加減寝てくれ~という気持ちが高まっていました。

 

口頭で何度も「危ないからやめなさい」「もう寝る時間だよ」「怪我をしたらすごく痛いよ」と言い聞かせても全く効果がなく、説得開始から1時間半くらい経ったころだったでしょうか。

向こう側で横になっていた夫が「あ!ふーちゃんが寝ないから、鬼から電話が来ちゃったよ」と言ってフーさんに自分のスマホを渡しました。

これは「鬼から電話」という、言うことを聞かない子や寝ない子に対してちょっとした恐怖心を煽るためのアプリです。

 

最初は「着信 あかおに」と書かれた画面と「プルルルル、プルルルル」という聞きなれない着信音が響いていました。部屋を暗くしていたので、何も知らないと大人もちょっと不気味に感じるほどでした。

 

フーさんは何だか分からないままスマホを受け取ります。すると画面にマッチョで強そうできかにも悪そうな赤鬼が登場し、低く不気味な声で説教を始めるのです。2歳になったばかりのフーさんは、言ってる内容は恐らくそんなに理解できていなかったけど、その異様で恐ろしい雰囲気にすっかり怯えきってしまいました。

 

まず泣くのではなく、両手で目を塞ぎ震え出しました。「とにかくこの怖いものをシャットアウトしたい」という気持ちのあらわれでしょう。その後、大声をあげて泣き出しました。

 

効果てきめんすぎる様子に、わたしたちはたいへん驚き、そしてすぐに子どもを抱きしめて「怖がらせてごめんね、もう大丈夫だよ」と謝りました。その後フーさんはびっくりするほど大人しくなって横になり、一生懸命目を閉じて寝ようとしていました。きっと鬼が来るのが怖くて怯えながら目を閉じたことでしょう。

 

ほどなくして娘は眠りにつきましたが、その後夫と二人で「これはもう封印しよう」という話をしました。前に何か(SNSだったか)でこのアプリを見かけて、どんなものかと興味本位で試してみたけど、想像以上に子どもにダメージを与えてしまったことに自分達もショックを受けました。

 

 

誤解して欲しくないのは、決してこういったアプリが悪い、という事を言いたいわけではありません。命に関わるような危険な行動は叱って改めるべきだし、かといっていくら口で言っても聞かない時はまっっったく聞かないものなのです。そういう時に子どもを律する”手段”としてこういうものがあるのも、理解できます。

たとえば子ども向けの絵本でも怖いものってよくありますよね。有名なところでいうと「ねないこだれだ」とか。子どもの教育と恐怖心って、結構密接なところにあると思います。正しい行いをしないと相応の罰がくだってしまうよ、という啓蒙は少なからず誰もが通る道です。子どもを真剣に叱るときはわたしたちも怖い顔をして、低い声で怒ったりするし、それもある意味”恐怖をあたえている”の一環と言えるかもしれません。

だから一概に「怖がらせるのはよくない」というわけではなくて、でもやっぱり我が子が見たこともないような怖がり方で震える姿を見て、我々もショックを受けてしまったのです。(自業自得ですが)

試す年齢が早すぎたのかもしれないし、色々と考えられることはあるのですが、とにかくちょっと反省しました。

 

 

余談ですが、会社の同僚がこんな話をしていました。

4歳の娘さんが、夜寝るときの指しゃぶりがやめられずにいたそうです。そこで同僚(お母さん)が「いつまでも指しゃぶりしてると、もうおててをつながないよ」と冗談交じりに言ったそうです。そうしたらどうなったと思いますか?娘さん、次の日からまったく指をしゃぶらなくなったそうです。

 

そこで同僚は喜んだかというとそうではなく「親の発言力の重みを感じて怖くなった」と言っていました。

たった一言で「もうお母さんが手を繋いでくれないかもしれない」という恐怖を、子どもに与えてしまったということですね。

指しゃぶりをやめたという効果はあったので、喜ばしいことともとれますが、難しいです。

 

そんな育児のむずかしさを感じた、今日このごろでした。

おわります。